硝酸態窒素について
2012/02/29
まずは野菜の必須栄養素からお勉強^^
植物は窒素、リン酸、カリという物質で育ちます。人間とは大違いですね^^
さて、窒素は大気中に山ほどあるのですが、植物は窒素を気体の状態で吸収できるわけではありません。
植物には根っこという部分があり、そこから生長に必要な大部分の養分を吸収します。
さて、栄養がたくさんあれば早く大きくなるのは想像できますが、ありすぎるとあまりよろしくない結果になります。
人間でも朝食はステーキ、昼は焼肉、夜はしゃぶしゃぶ・・・などという食生活を送っていると使い切れない脂肪が体に蓄積されて、度が過ぎると病気の原因になったりしますね^^
植物も同じことで肥料が多すぎると、使い切れない分の窒素が植物の体内に蓄積されます。この蓄積された過剰な窒素が問題になります。ちなみに植物は窒素を硝酸態窒素という形でしか吸収できませんから、植物の体内に蓄積された窒素も硝酸態窒素といいます。
植物にとって硝酸態窒素は必要な栄養素なのですが、人間や動物にとっては時には毒となる物質です。
乳児に硝酸態窒素を与えるとメトヘモグロビン血症(ブルーベビー症候群)を起こして酸欠で死んでしまいます。また成人でも硝酸態質素が腸内で亜硝酸となりたんぱく質と結合してニトロソアミンという強力な発がん物質になってしまう・・・と言われています。お~~~~こわ・・・
なのでヨーロッパでは野菜の硝酸態窒素濃度には制限が設けられていますが、日本は硝酸態窒素の毒性と人間の健康の関係がはっきりしないとかなんとかで特に制限は設けられていません。したがって一般消費者もそんなことは知りません。また肥料はある程度与えたほうが野菜は早く大きく育つので生産者は肥料をあげれば収入も上がるのでどんどん肥料を使う・・・ということになります。
また、化学肥料はお金を出して買わなければいけないので、ある程度計算して施肥することが多いと思いますが、牛糞や豚糞や鶏糞などはタダでもらえることが多く、タダならたくさん畑に入れたほうがいいだろうっ!!と考える農家さんは必要以上の窒素肥料を畑に入れてしまったりします。化学肥料を使わない有機栽培という言葉だけで安心安全と判断してしまいがちですが、有機肥料のコントロールのほうが化学肥料よりはるかに難しく、有機野菜だから安心安全でおいしいとは限らず、有機栽培の野菜のほうが硝酸態窒素濃度が高いことも大いにある・・・ということになります。
もちろん、有機栽培の野菜にもいろいろありますから有機野菜は全部危ないわけではありません^^ 有機野菜ならなんでもかんでもいいものだ・・・と思い込むのはよくないですよ・・・という話です^^
以下、硝酸態窒素中毒で死んだヤギのニュースです。
~~~~ここから引用~~~~
佐賀のニュース
ヤギ死因は硝酸塩
昨年12月、佐賀市内の小学校で飼育していたヤギ3匹が死んでいた問題で、県の中部家畜保健衛生所は解剖の結果、餌の野菜くずに含まれていた硝酸塩の体内蓄積による中毒死と診断した。急性硝酸塩中毒は、ヤギや牛など胃を4つ持つ反すう動物に特徴的な症状という。スーパーから譲ってもらった白菜に高濃度の硝酸塩が含まれており、これを一度に大量に与えたことが原因。厚生労働省や農林水産省は「市販の野菜を食べて動物が硝酸塩中毒を起こした事例は聞いたことがない」と話す。
家畜保健衛生所による病性鑑定で、ヤギの血中から正常値の百倍以上に当たる硝酸態窒素濃度がみられた。また、餌の白菜から飼料の安全基準ガイドラインを大幅に超える高濃度の硝酸塩を検出。加えて、外傷や病変がないことから、急性硝酸塩中毒と診断した。
同校によると、夏場は校内に自生している草をヤギの餌にしていたが、草が枯れる冬場はスーパーからの野菜くずを譲り受けており、ヤギが死んだ数日前から、白菜ばかりを与えていたという。
植物は栄養分の窒素を硝酸塩に変えて吸収し、成長するが、堆肥(たいひ)などの窒素肥料を与えすぎると植物内に硝酸塩がたまり、濃度が上がる。この硝酸塩が動物の体内に入ると、健康に害を及ぼす物質に変化する。
このため家畜保健衛生所は「特定の野菜ばかりを与えると中毒になるリスクも高くなる」「餌を長時間切らせると次に与えるとき、食べ過ぎてよくない」などの注意点を同校に通達。現在は、残ったヤギ1匹にわらや草など数種類を混ぜた餌を与えている。
近年、野菜の硝酸塩について農水省には人間の健康に対する影響についても問い合わせが寄せられているという。
食品添加物としてチーズや食肉製品から取り込む硝酸塩については、1日許容摂取量を定めているが、野菜については基準値を設定していない。そのため「今回の白菜が人間に与える影響については化学的データがなく、答える立場にない」といい、「とにかく初めてのケース」と戸惑いを隠せない。
ただ、野菜の硝酸塩は「ゆでる」ことや「漬ける」ことで減少することから、農水省は「現時点で人体に問題があるとはいえない。野菜を食べる健康上のメリットを大切にすべきで、一定の種類に偏らずバランスよく取ってほしい」と強調する。
硝酸塩対策 農水省は硝酸塩を減らすための栽培技術開発や産地への研究支援を実施。海外では国連食糧農業機関(FAQ)と世界保健機関(WHO)の合同専門家会合が「野菜を摂取することの利点からみて、野菜中の硝酸塩量を限定することは適切ではない」と報告したが、一方で、EUは1997年から、レタスとホウレンソウについて含有量の基準値を定めた。
~~~~ニュースおしまい~~~~
このほかにもシマウマが有機野菜を与えたら硝酸塩中毒で死んだとか、硝酸態窒素で検索すればこの手のニュースはけっこう出てきます。
人間には胃袋はひとつしかありませんが、同じ哺乳類なのであまり気持ちのいいものではありませんね。
また、畑から流亡する肥料分が地下水を汚染して日本の名水が基準を超える硝酸態窒素を含んでいる・・・というようなデータもあるようです。いかんなあ、そんなこと誰も知らんぞ・・・
硝酸態窒素と人間の健康についてはまだはっきりしないことが多いようですが、害が出てからでは遅いということもありますから、私はできるだけ硝酸態窒素濃度の高い野菜は食べないほうがよいと思います。また硝酸態窒素は苦味、エグミ、渋みとして味覚で感じることができます^^
ほうれん草を生で食べると口の中に広がる渋みやエグミ、あの味が硝酸態窒素の味です。ほうれん草の名誉のためにいっておきますが、あのエグ味や渋みや苦味はけっしてほうれん草の味ではありません^^ほうれん草の嫌いな方はほうれん草の味がだめなのではなく硝酸態窒素の味がダメ・・・ということなのかもしれませんね^^
あまり神経質になりすぎる必要はないのかもしれませんし、多少硝酸態窒素が多いからといっても、そういう野菜が今の日本の食を支えていることも確かです。
ただ、硝酸態窒素について知識がある人はわざわざそういう野菜を選んで食べたりはしませんから、まずはこういうことがあるのだ・・・ということを知るということが大切だと思います。
ウチの野菜はすごいんだぞ!!ということをいいたいのではなく、何も知らないで生野菜は体にいいから・・・と思って毎日野菜をたくさん食べている消費者の方々に、こういうことがあるということを知ってほしいと思い、書いてみました^^
植物は窒素、リン酸、カリという物質で育ちます。人間とは大違いですね^^
さて、窒素は大気中に山ほどあるのですが、植物は窒素を気体の状態で吸収できるわけではありません。
植物には根っこという部分があり、そこから生長に必要な大部分の養分を吸収します。
さて、栄養がたくさんあれば早く大きくなるのは想像できますが、ありすぎるとあまりよろしくない結果になります。
人間でも朝食はステーキ、昼は焼肉、夜はしゃぶしゃぶ・・・などという食生活を送っていると使い切れない脂肪が体に蓄積されて、度が過ぎると病気の原因になったりしますね^^
植物も同じことで肥料が多すぎると、使い切れない分の窒素が植物の体内に蓄積されます。この蓄積された過剰な窒素が問題になります。ちなみに植物は窒素を硝酸態窒素という形でしか吸収できませんから、植物の体内に蓄積された窒素も硝酸態窒素といいます。
植物にとって硝酸態窒素は必要な栄養素なのですが、人間や動物にとっては時には毒となる物質です。
乳児に硝酸態窒素を与えるとメトヘモグロビン血症(ブルーベビー症候群)を起こして酸欠で死んでしまいます。また成人でも硝酸態質素が腸内で亜硝酸となりたんぱく質と結合してニトロソアミンという強力な発がん物質になってしまう・・・と言われています。お~~~~こわ・・・
なのでヨーロッパでは野菜の硝酸態窒素濃度には制限が設けられていますが、日本は硝酸態窒素の毒性と人間の健康の関係がはっきりしないとかなんとかで特に制限は設けられていません。したがって一般消費者もそんなことは知りません。また肥料はある程度与えたほうが野菜は早く大きく育つので生産者は肥料をあげれば収入も上がるのでどんどん肥料を使う・・・ということになります。
また、化学肥料はお金を出して買わなければいけないので、ある程度計算して施肥することが多いと思いますが、牛糞や豚糞や鶏糞などはタダでもらえることが多く、タダならたくさん畑に入れたほうがいいだろうっ!!と考える農家さんは必要以上の窒素肥料を畑に入れてしまったりします。化学肥料を使わない有機栽培という言葉だけで安心安全と判断してしまいがちですが、有機肥料のコントロールのほうが化学肥料よりはるかに難しく、有機野菜だから安心安全でおいしいとは限らず、有機栽培の野菜のほうが硝酸態窒素濃度が高いことも大いにある・・・ということになります。
もちろん、有機栽培の野菜にもいろいろありますから有機野菜は全部危ないわけではありません^^ 有機野菜ならなんでもかんでもいいものだ・・・と思い込むのはよくないですよ・・・という話です^^
以下、硝酸態窒素中毒で死んだヤギのニュースです。
~~~~ここから引用~~~~
佐賀のニュース
ヤギ死因は硝酸塩
昨年12月、佐賀市内の小学校で飼育していたヤギ3匹が死んでいた問題で、県の中部家畜保健衛生所は解剖の結果、餌の野菜くずに含まれていた硝酸塩の体内蓄積による中毒死と診断した。急性硝酸塩中毒は、ヤギや牛など胃を4つ持つ反すう動物に特徴的な症状という。スーパーから譲ってもらった白菜に高濃度の硝酸塩が含まれており、これを一度に大量に与えたことが原因。厚生労働省や農林水産省は「市販の野菜を食べて動物が硝酸塩中毒を起こした事例は聞いたことがない」と話す。
家畜保健衛生所による病性鑑定で、ヤギの血中から正常値の百倍以上に当たる硝酸態窒素濃度がみられた。また、餌の白菜から飼料の安全基準ガイドラインを大幅に超える高濃度の硝酸塩を検出。加えて、外傷や病変がないことから、急性硝酸塩中毒と診断した。
同校によると、夏場は校内に自生している草をヤギの餌にしていたが、草が枯れる冬場はスーパーからの野菜くずを譲り受けており、ヤギが死んだ数日前から、白菜ばかりを与えていたという。
植物は栄養分の窒素を硝酸塩に変えて吸収し、成長するが、堆肥(たいひ)などの窒素肥料を与えすぎると植物内に硝酸塩がたまり、濃度が上がる。この硝酸塩が動物の体内に入ると、健康に害を及ぼす物質に変化する。
このため家畜保健衛生所は「特定の野菜ばかりを与えると中毒になるリスクも高くなる」「餌を長時間切らせると次に与えるとき、食べ過ぎてよくない」などの注意点を同校に通達。現在は、残ったヤギ1匹にわらや草など数種類を混ぜた餌を与えている。
近年、野菜の硝酸塩について農水省には人間の健康に対する影響についても問い合わせが寄せられているという。
食品添加物としてチーズや食肉製品から取り込む硝酸塩については、1日許容摂取量を定めているが、野菜については基準値を設定していない。そのため「今回の白菜が人間に与える影響については化学的データがなく、答える立場にない」といい、「とにかく初めてのケース」と戸惑いを隠せない。
ただ、野菜の硝酸塩は「ゆでる」ことや「漬ける」ことで減少することから、農水省は「現時点で人体に問題があるとはいえない。野菜を食べる健康上のメリットを大切にすべきで、一定の種類に偏らずバランスよく取ってほしい」と強調する。
硝酸塩対策 農水省は硝酸塩を減らすための栽培技術開発や産地への研究支援を実施。海外では国連食糧農業機関(FAQ)と世界保健機関(WHO)の合同専門家会合が「野菜を摂取することの利点からみて、野菜中の硝酸塩量を限定することは適切ではない」と報告したが、一方で、EUは1997年から、レタスとホウレンソウについて含有量の基準値を定めた。
~~~~ニュースおしまい~~~~
このほかにもシマウマが有機野菜を与えたら硝酸塩中毒で死んだとか、硝酸態窒素で検索すればこの手のニュースはけっこう出てきます。
人間には胃袋はひとつしかありませんが、同じ哺乳類なのであまり気持ちのいいものではありませんね。
また、畑から流亡する肥料分が地下水を汚染して日本の名水が基準を超える硝酸態窒素を含んでいる・・・というようなデータもあるようです。いかんなあ、そんなこと誰も知らんぞ・・・
硝酸態窒素と人間の健康についてはまだはっきりしないことが多いようですが、害が出てからでは遅いということもありますから、私はできるだけ硝酸態窒素濃度の高い野菜は食べないほうがよいと思います。また硝酸態窒素は苦味、エグミ、渋みとして味覚で感じることができます^^
ほうれん草を生で食べると口の中に広がる渋みやエグミ、あの味が硝酸態窒素の味です。ほうれん草の名誉のためにいっておきますが、あのエグ味や渋みや苦味はけっしてほうれん草の味ではありません^^ほうれん草の嫌いな方はほうれん草の味がだめなのではなく硝酸態窒素の味がダメ・・・ということなのかもしれませんね^^
あまり神経質になりすぎる必要はないのかもしれませんし、多少硝酸態窒素が多いからといっても、そういう野菜が今の日本の食を支えていることも確かです。
ただ、硝酸態窒素について知識がある人はわざわざそういう野菜を選んで食べたりはしませんから、まずはこういうことがあるのだ・・・ということを知るということが大切だと思います。
ウチの野菜はすごいんだぞ!!ということをいいたいのではなく、何も知らないで生野菜は体にいいから・・・と思って毎日野菜をたくさん食べている消費者の方々に、こういうことがあるということを知ってほしいと思い、書いてみました^^
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